議案第3号 八街市個人情報保護法施行条例の制定について反対討論

 

この条例の改定の趣旨は、20215月に成立したデジタル関連法の一環である、個人情報の保護に関する法律が改定され、全国共通のルールで一本化されたことを受け同法の施行に必要となる事項について定めるとともに、従来の八街市個人情報保護条例を廃止するというものです。この改正個人情報保護法は、各自治体独自の個人情報保護に縛りをかけ、保護基準を緩和した国の共通ルールを設定するというものです。

現市条例では、「個人情報の収集」が定められており、「本人から収集しなければならない」とされています。条例では同時に、本人から直接収集しなくてもよい「例外」が定められ、法令に定めがあるときや緊急時、個人情報保護審議会の意見を聞いて公益上必要があると市長が認めたときなど極めて限定的です収集の制限があります。改正法による共通ルール化でこの原則はなくなります。また、「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経 歴、犯罪被害者か」などのいわゆる要配慮個人情―報の保管を原則禁止しています。しかし改正法では「個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない」として普通の個人情報と同様の取り扱いとなっています。個人情報に配慮した規制を条例化することを認めないことに加え、これまで本市の個人情報保護審議会が判断していた 個人情報の目的外使用や外部提供の可否についても国が共通ルール化し、審議会での議論を通す必要がなくなります。

 

こうした個人情報保護の共通ルール化による規制緩和は、自治体等の持つ膨大な個人情報をオープンデータ化やオンラインでの結合することで、企業がビッグデーターとして活用提案することを目的に行われます。本人の同意を得ずにデータを外部提供できる非識別加工情報の提供について、八街市は「情報加工方法や体制等の検討を重ねる必要があるため今回は改正しない」としていますが、今後は改正をするとしています。匿名化が義務づけられているとはいえ、様々な個人情報の収集と突合により、匿名情報から個人を特定するプロファイリングは規制されていません。デジタル関連法の中心部分は、国や地方自治体が持つ膨大な個人情報のデータ活用を成長戦略に位置付け、外部提供した企業にAIで分析させ、儲けのタネにさせることを、デジタル改革の名で進めようとするものです。しかし、個人のプライバシーの侵害、地方自治の侵害、国民生活への影響、利益誘導・官民癒着の拡大といった多くの問題があります。こうした問題だらけのデジタル改革関連法の具体化となることから、この条例案に反対するものです。


議案第10号 令和4年度八街市一般会計補正予算反対討論

この補正予算のうち戸籍住民基本台帳費に関して反対致します。国からは戸籍住民基本台帳費委託金として631万円、一般財源から1608千円が計上されています。

 

国は、現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードに一体化するとしています。市民にとっては保険証の代わりならとカード取得を急いでいます。しかし、このやり方は実質的に強制する極めて強権的な方針であり、任意取得の原則を定めるマイナンバー法に違反し、憲法が保障する自己決定権にも反しています。

医療機関等にたいしては、来年4月からのオンライン資格確認を原則義務化しました。全国保険医団体連合会が1011月に実施した調査によると、医療機関8681件のうちシステムの運用開始済み24%、準備中55%、導入しない・できない15%です。導入コストが補助金額を上回ったのが54%、運用開始後のトラブル発生が415%と負担が重い一方、導入準備の理由の9割は「必要性ないが義務化されたから」が実態です。導入しない理由は費用面や「情報漏洩、セキュリティ対策が不安」「対応できるスタッフがいない」が半数以上で、愛知保険医協会の調査では「義務化されると廃業せざるを得ない」が12.4%です。地域医療に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。

マイナンバーカードを保険証として利用するには、医療機関受付で顔認証システムを利用するため、全国民の顔画像が収集されることになります。日本弁護士連合会は、プライバシー権の侵害や国家による市民の監視に使われる危険を指摘しています。

また、政府が運営するオンラインサービスのマイナポータルに登録が必要ですが、マイナポータルにアクセスすれば個人情報の閲覧が可能となり、DVや虐待の被害者は不開示措置の届出を行わなければ加害者に自身の情報を閲覧される可能性があるなど、生命にかかわる情報漏洩の危険も指摘されています。利益誘導による普及策は任意取得の原則に反するものです。情報漏洩の危険性を市民にキチンと周知することが必要です。

義務化の撤回を政府に求めることを要望し反対討論とします。


議案第15号 令和4年度八街市一般会計補正予算反対討論

この補正予算には、出産・子育て応援事業費31093千円の予算計上がされており大変歓迎するところです。一方、個人情報漏洩の心配・プライバシー侵害の危険がある社会保障・税番号制度関連事務費671万円、この事業促進のためのマイナポイント事業726万円が計上されており、この部分での反対討論を行います。

先ほど案第8号 令和4年度八街市一般会計補正予算に反対した通りであります。イナンバーカードの取得は法律で任意としています。しかし、「『マイナポイント』というアメと健康保険証のひも付けというムチで、マイナンバーカードを持たせることを強いるやり方に、個人情報が守られるのかどうか多くの市民が懸念を持っています。

この間、政府は「マイナポイント事業」を展開してきました。市町村ごとに取得率を公表し、普及状況に応じて地方交付税や交付金の配分額に差をつける方針を示し、個人番号カードの取得を進めてきました。国は交付税の算定根拠となる項目として、23年度からマイナンバーを利活用した取り組みに500億円を計上し、交付率が高い上位1/3の市町村に手厚く配分するとしています。

カードの交付率で配分に差をつけるのは制度の趣旨にそぐわないばかりか、任意のはずのカード取得に国が地方に事実上の圧力をかけ無用な自治体間競争をあおるものであり、実施すべきではありません。

交付率は全国的にも本市においてもやっと50%の到達です。進まないのは個人情報漏洩の心配やプライバシー侵害につながる危険があるからです。

前身の住基カードと比べてもマイナンバーカードは個人番号と氏名、住所、生年月日、性別、顔写真の情報が表示されており、プライバシー保護の観点は後退しています。

政府は、マイナ保険証から個人情報は流出しないと説明しますが、昨年の国会では、政府系金融機関の顧客情報や行政が持つ個人情報の外部提供が明らかにとなり、国民の納得は得られていません。

 

個人情報保護をないがしろにして個人データを集め、管理・利用する政府に国民は強い不信を抱いています。個人情報収集の入り口に位置づけられているのがマイナンバー制度です。制度の見直し、廃止が必要です。